特別編 特別編
【三木のジンクス】
近畿選常連の皆さんに聞いた話です。
参加台数はともかく、天気まではワカランやろー？と疑ってましたが、果たしてその通りでした。すげージンクス！！
【練習走行】
前日まで雨が降り続き、マッドな路面での一日が始まりました。今回はどのクラスも予選は無いようです。
マッドが超絶に苦手なワタシですが、レースの前週に１日だけ、ココのコースでマッドの練習をしました。さてどんなもんかな？？と思いつつ、練習走行が開始です。
うん、特に周りの人より速く走れるワケじゃないけど、それなりに走れます。練習した甲斐があったぞー！そして、最後の方に少しペースを上げてみました。案の定、コケました。なるほど、今のワタシでは、少しムリをするとコケてしまうようです。本番はコケないように行かないとなぁ。
【ＮＢ１決勝】
今日は２スト２５０ｃｃが最初のレースです。タイヤはミディアム ハードのままですが、気にせずに、よーい ドン！！
おっ？なんだかイイ感じで１コーナーが近づきます。もしやホールショットか？と思いきや、アウト側から＃７山本さん（前回も今回も三木でのウイナー。５０才代ライダー！）のが来ました。後ろを走るコトにしようとすると、山本さんは１コーナーをインで曲がるようです。まっすぐアウトのバンクに行くつもりだったワタシは急制動！マネしてインを曲がりました。なるほどー！これが正解なんだな！！
１コーナーを抜けてすぐ、アウト側から＃３６新城くんがエラいスピードで抜いて行きました。前の２台を見ながら、林の中を走ります。
（今３位やなぁ。まぁ、まさかこのままイケるワケじゃないし、焦らずに行こう！）
と思いつつ、心のどこかにスケベ根性が無かったと言い切る自信はありません。ハイ、ワタシはドスケベです。すぐにムラムラするのです。
林を折り返して、次の左コーナーは練習走行の時、ヌタヌタだったので注意深く入りました。ところが、ツルっと前が無くなり、コケてしまいました。練習走行時より、もっとヌタヌタなのです。ムラムラはヌタヌタに簡単に負けてしまいました。。一気にビリです。
（ココから いよいよ焦らず、コケずに行こう！）
思い直して、再スタートし、ウープスまで来ました。すると３〜４台が絡んでコケてます。
ヌタヌタで、とても難しい路面です。ワタシもコケないようにしないと！！
ペースを上げて走れるワケもなく、走り続けていました。そして、それは３周目です。ウープスを過ぎて、下ったトコロの左コーナーで転倒しているライダーがいます。ラインを変えて避けようとすると、ボテっとコケてしまったのです。仕方なく、泥で重くなった単車を起こし、エンジンをかけました。足場が悪いせいか、ヨタヨタと走り出すと、またコケました。またまた再発進しようとすると、いつもはピョコンと跳ぶコブが目前です。ゆっくり通過すると前転しそうなので、単車を降りたまま、単車を進めると、、コブの直後の溝に前輪が引っかかり、スタック！エンジンを吹かしても後輪は空転するばかりで進みません。単車を倒さずに何とか脱出しようとするも、どうにも動きません。止む無く、単車を倒し、前輪をコネて溝を越えさせました。またまた単車を起こし、エンジンをかけて再発進しました。
体力を消耗してしまい、フラフラです。かなりの時間を脱出に費やしたので、何度もラップされました。案の定、ゴールラインではチェッカーが振られました。正直云って、ホっとしました。もうあと１周も走れない位に疲れてましたから。。３周しか走っていないので、もちろん完走扱いにはならず、ＤＮＦ…。ガッカリ。
【ＮＢオープン決勝】
次こそは走りきろうと思い直し、スタートのクジを引くと、ビリのクジです。ビリのクジを引くのは本当に得意なワタシです。。予選は無いものの、ほぼフルグリッドなので、どこに入ろうかウロウロしてると、コケてしまい、笑われてしまいました。（これが笑い話の序章だったとは。。）
そして、よーい ドン！それなりのスタートで、１コーナーは６〜７位？のようです。今回は転倒しないように慎重に行くぞ！と誓っての走行です。
ところが１周目のウープス、ヌタヌタの中、ヤってはイケナイ転倒をしてしまいました。。コケた単車を起こそうとする、その前に、泥に埋まった足が動きません。泥から足を思い切り引き抜こうとして、ヒザがオカシクなりました。単車を起こそうとすると、泥がタップリ付いた単車が凄まじい重さです。ハンドルが泥に引っかかってるんじゃないかと疑いましたが、単に泥で重たくなっているだけのようです。本当に信じられない重さなのです。火事場のバカ力で起こしたものの、前輪も後輪もコブの上、とても跨るコトができません。前後どちらかに動かそうとしても、泥まみれの単車は全然動きません。汗をボタボタ流し、なんとか跨れる場所まで動かして、エンジン始動をすべく、跨ろうとすると、、泥がタップリ付いたブーツは信じられない重さで足を簡単に上げるコトもできません。何とか跨り、キックをすると、足を踏み外して、また転倒。。
まさしく泥地獄！！何度もエンジン始動に失敗するワタシは疲れきって動けなくなってしまいました。。何度もラップしていくライダーを見ると、やはり苦労しながら通過しているようです。コケても再スタートしていく人も何人もいます。それなのにワタシは。。
そろそろゴールが近づいている頃、オフィシャルの方が車体を支えてくれて、エンジン始動の手助けをしてくれました。もちろん、誰かが手助けするのは失格です。既に周回不足で失格が確定しているワタシが自力でウープスを抜ける方が後で救出するのがラクだと判断されたからだと思います。そしてワタシはエンジン始動できました。自力ではエンジン始動さえできなかったのです。。
ヨタヨタとウープスを抜けていきました。そして最後の１山でまたまた転倒。。体中に力が入らず、精神的にもビビリまくっているワタシはチョットのコトでコケました。なんとか平地まで単車をひきずりました。でも、もう一歩も動けません。ゴール地点ではチェッカーが振られようとしています。コースサイドの仲間を呼び、助けを乞いました。
『ゴメン、単車を押して！。。外に出るわ。。』
とにかく、もう動けないのです。コースの低いトコロまで行ってしまったら、帰って来れなくなるのは必至なのです。。
ところが、、単車を動かせません。泥が前輪とフロントフォークの間に挟まり、タルタルに緩めておいたチェーンも泥でパンパンに張ってしまっています。オフィシャルの方にも手伝ってもらい、何とかコースの外に出せました。
１周することさえ出来ない。。そして２レース連続のＤＮＦ。。コレがワタシです。
もうダメだ
ＮＢオープンの後、３０分後にＮＢ２の決勝が始まります。ＮＢオープンの後、サダオヤヂは即、洗車を始めてくれています。次のレースまでに可能な限り、泥を落として、単車を軽くする為です。ワークス並の体制です。
ところがワタシ、、もう動けません。わずか３０分で回復するハズもありません。体力的にも精神的にも、とにかくボロボロなのです。
（もうダメだ、もうイヤだ、もうコリゴリだ。次のレースに出ても、どうせどこかでスタックしてＤＮＦだ。もう腕も上半身も、脚も腰も、力が入らないんだ。どう考えても あのウープスを無事に通過できるとは思えないし、完走なんて絶対できない。レースにならないんだ。オレには歯が立たないんだ。もう出走するのはヤメよう。）
心の底から、そう思いました。そして泥水を浴びながら洗車をしてくれているサダオヤヂに云いに行きました。
『もうアカンわ。次のレースはリタイヤするわ。。もうどうにもならんのや。。』
エエ歳したオッサンのワタシは冗談抜きの半泣きで云いました。サダオヤヂはこう云いました。
「それで後悔しないのか？」
……どうだろうか？ワタシは後悔するのだろうか？
…………きっと後悔するんだろな。叩かれる前に自ら逃げたコトを一生悔やむだろうな。
………………じゃあ、レースに出て、またまた泥の中でのたうちまわって、キックを１００回やって、フラフラになって、恥かくか？
…
…
…
１０秒程、とても悩みましたが結論が出ました。
『やっぱり走ろかな。着替えてくるわ。。』
【ＮＢ２決勝】
このレース前に、今日まだ使っていないヘルメットと、ブーツとウエアに換えました。手袋とゴーグルは新品を使うコトにしました。ほぼ１００％、完走できないレースですが、どういうワケだか そうしないといられない気分でした。
（３レース連続のＤＮＦになるだろうけど、イイんだ！逃げないんだ！！）
こんな気持ちでレースを迎えるのは初めてかもしれません。
バテバテのまま、スタート前の集合場所に行きました。
（これから泥との格闘だな、、１０分間のたうちまわってやる、キック１００回やってやる！オレなんかに恥なんて最初っから無いんだ！）
でも、本当に正直云って、ビビりまくってました。本当に泥の中でヒーヒー云うのは嫌でした。コケた単車を起こすのも、キックを１００回するのも、本当に嫌でした。でも逃げるよりはマシだ、、ただそれだけでした。
出場選手全員が集まった頃、オフィシャルからこんな話がありました。
「コース状況が悪く、進行に支障をきたすので、ウープスをショートカットするコース設定としたい。賛成頂ける選手は挙手して欲しい。」
あのウープスごときをマトモに通過できない選手なんてＮＢでも１人位（←ワタシ）です。本来ならショートカットなんてすべきでは無いはずだし、試走だって必要なはずです。だけど、、正直に告白しますが、ワタシは嬉しかったのです。ＭＸのカミサマがワタシを助けたのか？とさえ思いました。ひょっとしたら完走できるかもしれないと思ったのです。誰よりも早く手を上げていた、と後で仲間に笑われました。そして他にも多くのライダーが手を上げ、ショートカットとなりました。
そして、よーい
ドン！なぜだかワタシはスタート良く、３位あたりで１コーナーに入りました。（スタートが良くても、ワタシのレース結果に関係無いのですが、今回のレースでワタシが『レース』できるのは、スタートだけなのです。。）１コーナーではインを回りたいのですが、いつまでもアクセルを開けていたので、思わずアウトのバンクまで行ってしまいました。イン側から６台以上に抜かれました。
この後、フラフラと走り続け、抜かれ続けました。体に力が入らず、ただただコケないように走らせるコトで精一杯でした。５分以上が過ぎたでしょうか、前には誰も見えず、後ろから抜いてくる人も来なくなりました。きっとビリでしょう。そしてペースはさらに落ちています。
トップの２台が後ろから迫ってきたので、ラインを譲りました。前が＃０４上佐選手、次が＃０５迫田選手でした。アっと云う間に見えなくなりました。そしてゴール。何度もコケそうになりましたが、なんとか耐え、今日初めて完走できました。
レースの後、パドックに向かってトボトボ歩いていると、なぜだか目から汗が流れました。恥ずかしくてヘルメットを脱げませんでした。完走できて嬉しい？マトモに乗れず情けない？ビリでレースにならなくて悔しい？…どれでも無さそうです。単に緊張から解かれて、気持ちが弛んだだけだと思うのですが。。
【最後に】
ま、冷静に考えれば、１月の名阪で泥地獄に落とされるハズでしたから、それが今回になったってだけですね。このレースを原点と認識し、ボチボチやっていこうと思い直す今日この頃です。
このレポートを書くのは少し悩みました。正直に書くには、あまりにも情けなくて恥ずかしいからです。でも「レポートはまだかー！？いつになったら更新するねんー！！」と何人かに脅されたものですから書きました（笑）。
２００５．７ ＴＣアニキ
